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企業の資金調達方法 |2022年10月28日


企業が資金調達を行うには、調達方法の種類はざまざまです。
資金調達方法は大きく分けて、次の4つに分類できます。

  • 直接金融(エクイティ・ファイナンス)
  • 間接金融(デット・ファイナンス)
  • 助成金・補助金
  • 資産売却(アセット・ファイナンス)

それぞれの資金調達方法には、メリット・デメリットがあります。
直接金融や間接金融にも、出資方法や借入先などの違いにより、調達方法が多くあります。

自社で事業に必要な資金を調達するにはどの方法が適しており、有利であるのか、また現状でその方法をとることは可能なのか、慎重に検討することが
必要です。
各資金調達方法の概要について解説します。

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直接金融(エクイティ・ファイナス)

直接金融は、企業への出資です。
一般的には株式会社が創業時の出資や、新株発行時に株式を投資家に割り当てることで、返済の必要がない資金を得ることができます。

新株発行

企業が投資家から出資を受け、出資を受けた分の持ち分を投資家に割り当てる方法です。
既存株主に割り当てる方法や、新規の株主を迎え入れて第三者割当増資をする方法があります。
また、新株予約権の発行を行い、これを順次株式に転換することで、投資家や事業進捗の状況に応じ、増資を行っていくことも可能です。

直接金融のメリット
企業にとっては返済の必要がない資金であるため、財務状況を悪化させることなく、事業の拡大や企業の成長、あるいはM&Aに必要な資金などを獲得することができます。
投資家にとっても、企業の成長に伴い、保有株式の資産価値の増大(株価の上昇)や、配当を受けられるメリットがあります。企業に対し一定の発言権などの株主の権利を行使できる点もあります。

直接金融のデメリット
一方、企業にとっては株主が増えるため、経営方針の策定や企業運営などにおいて、議決権行使に影響があるため、株主との関係を良好に保つことが求められます。
既存株主にとっても、持ち株比率が低下することや、保有株式の資産価値の希薄化が起きるデメリットがあります。

企業の所有権が希薄化するデメリットがありますが、返済の必要がないため、事業の拡大や成長に必要な資金を調達できます。

クラウドファンディング

企業への出資には、クラウドファンディングの方法もあります。
新株発行とは異なり、クラウドファンディングで得た資金を元に事業を行い、その事業の成果、果実である成果物を、資金提供者に提供する方法です。
たとえばクラウドファンディングで得た資金で商品を製造販売し、資金提供者に商品を提供する方法や、サービス提供事業でその利用権を与える方法などがあげられます。

クラウドファンディングは、株式会社以外の種類の法人や、中小企業、個人事業でも利用できます。
一口当たりの出資額も少額であることが多く、不特定多数の個人から少額の資金を募るものです。
インターネットのクラウドファンディングサイトを介して、資金調達ができ、低コストでの資金調達が可能です。

クラウドファンディングには、資金提供者への還元方法により、「株式型」「投資型」「寄付型」のように分類することもできます。

クラウドファンディングのメリット
株式会社以外でも、中小企業や個人事業でも資金調達ができます。
資金調達コストも低く、資金提供者への利益還元方法も柔軟に設定できるため、無理のない資金調達計画が立てられます。

クラウドファンディングのデメリット
目標金額となる資金調達ができるとは限らないため、事業計画とのズレが発生する可能性があります。
また資金調達に成功しても資金提供者の満足が得られないと、次回以降の資金調達に影響が出る可能性があります。

助成金・補助金

返済の必要がない点で直接金融にも似ている資金調達方法に、各種の助成金・補助金があります。
なお各助成金・補助金の募集要項により、一部返済が必要となる場合や、資金の1/2あるいは1/3まで、さらに100万円までといった、調達額に制限がある場合があります。

補助金や助成金は、国や地方自治体、各種の財団などから資金の給付を受ける方法です。
返済の必要がない資金であれば、事業に必要な資金調達ができます。

一例として、「創業・起業補助金」「設備投資補助金」「人材採用助成金」「研究開発助成金」「目的限定型の助成金」などがあります。
申請して審査されれば助成金が得られるタイプのほか、事業の必要な資金を投入した後に、事業報告などを行ったうえで、後日に資金が得られるタイプがあります。

また、審査を通った案件だけに金銭が給付されるもののほか、要件を満たせば一律に助成されるものや、資金枠がある限りで先行者優先で助成されるものもあります。

助成金・補助金のメリット
返済の必要がないことがメリットです。

助成金・補助金のデメリット
資金の使途が目的や投資対象などにより限定される場合や、事業資金の一部のみに限定して助成される場合に、自社でも資金が必要となるデメリットがあります。
審査に時間がかかる場合が多く、事後に給付されるタイプの助成金・補助金では資金が得られるまでの期間がかかり、事後報告などの手続きが煩雑な場合もあるというデメリットもあります。


関連ページ:

助成金・補助金

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間接金融(デット・ファイナンス)

銀行融資

銀行などの金融機関から借り入れをする方法です。
銀行以外にも、信用金庫、信用組合、農協などからの借り入れもほぼ同一の資金調達方法といえます。
金融機関との間で利率・返済期間・返済方法、担保や保証人などの一定の借り入れ条件、返済条件と返済義務が発生します。

公的融資

銀行融資と同様の借り入れ方法ですが、政府系金融機関や自治体などの公的機関からの融資です。
民間金融機関ではカバーしきれない中小企業や個人事業主の資金面での支援や、特定の政策目的のために融資が実行されます。

政府系金融機関には次のものがあります。


  • 日本政策金融公庫

  • 日本政策投資銀行

  • 商工組合中央金庫

  • 沖縄振興開発金融公庫

  • 国際協力銀行

日本政策金融公庫は、公的融資では特に大きな役割を果たしている金融機関です。
日本政策投資銀行は、経済成長や産業の育成などの政策目的での融資を目的とする政府系金融機関です。

公的融資のメリット
民間金融機関よりも金利が低く、融資にあたっての審査が緩いことがメリットです。
融資の保証制度が利用できるのも、融資のハードルを下げるメリットとなります。

公的融資のデメリット
変策義務が生じるのは通常の融資と同様に当然のことですが、融資額が少なかったり、返済期限が短いことが、一般的にデメリットとされます。

ビジネスローン

ビジネスローンとは、事業者が借り入れるためのローン商品です。
銀行などの金融機関が提供するもののほか、信販会社、クレジットカード会社、消費者金融などのノンバンクが取り扱う商品があります。

一般には法人経営者、個人事業主が申し込むことができます。

ビジネスローンのメリット
借り入れの審査が短期で行われ、事業資金を短期間で調達できる点はメリットです。
担保や保証人の必要は借入先にもよりますが、不要な場合にはメリットとなります。

ビジネスローンのデメリット
返済義務が発生することは当然ですが、一般のローンよりは利率が低いものがある一方で、銀行融資や公的融資よりも利率が高いことはデメリットです。

社債の発行

社債は、企業が発行する債券で、個人や企業などの投資家からの借り入れを行うために、資金調達と引き換えに利息の付いた金融商品として発行されるものです。

社債発行のメリット
自己資本を増やさないで資金調達ができること、長期的な資金調達が可能なことはメリットです。

社債発行のデメリット
銀行融資よりも高い利息の支払いを必要とする場合があり、信用リスクを負うデメリットがあります。
中小企業など、信用リスクや知名度が低い場合には社債の引き受け手が見つけられない場合があります。

資産売却(アセット・ファイナンス)

資産売却による事業資金の調達は、遊休化している資産などを現金化して、当面の資金を調達する方法です。

不動産・動産の売却

不動産の売却や、設備・機器・車両の売却、在庫処分、株式などの資産売却の方法があります。
事業の必要な不動産や動産を売却すると、当面の資金は得られても、その後に事業に影響がある場合もあるため、メリットとデメリットを慎重に判断しなければなりません。

金融資産の売却

株式や債券などの金融資産は、売却しても問題ないことが多く、手っ取り早く資金を調達できる方法です。
ただし関係会社株式などの売却は慎重に判断しなければなりません。

生命保険、損害保険、自動車保険などの保険を見直したり、解約返戻金などの資産性がある場合には、借り入れや、解約による解約返戻金を資金調達に利用する方法もあります。


関連ページ:

自動車保険の比較・見直し

売掛債券の売却(ファクタリング)

売掛債券の売却(ファクタリング)は、請求したが現金化できていない売掛金を現金化する方法です。
売掛金債権を現金化できるため、当面の資金繰りには有利となります。
一方で先々の入金を早めることになるため、中長期的な資金繰りに与える影響と、手数料分だけの入金額の減少による影響を慎重に考慮する必要があります。

入金サイクルが長い取引や金額の大きい売掛債権の現金化、銀行融資が下りるまでのつなぎ資金の調達、一時的な資金繰りの悪化への対応などには有効な方法です。


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ファクタリング

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財務・税務


■このページの著者:金原 正道

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