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弁護士の業務広告に関する規定-ilc.gr.jp

弁護士の業務広告に関する規定 |2022年11月18日


弁護士業務広告については、日本弁護士連合会の「弁護士等の業務広告に関する規程」、「外国法事務弁護士等の業務広告に関する規程」、「業務広告に関する指針」によって、規制が決められていたほか、2016年にはこれに加え、「弁護士情報提供ウェブサイトへの掲載に関する指針」(PDF:が施行されました。

これらの規定は、適宜改正が重ねられています。


弁護士等の業務広告に関する規程(PDF) 日本弁護士連合会https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/pdf/kaiki/kaiki_no_44_160620.pdf

(禁止される広告)
第三条
弁護士等は、次に掲げる広告をすることができない。
一 事実に合致していない広告
二 誤導又は誤認のおそれのある広告
三 誇大又は過度な期待を抱かせる広告
四 困惑させ、又は過度な不安をあおる広告
五 特定の弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士若しくは外国法事務弁護士法人又はこれらの事務所と比較した広告
六 法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則若しくは会規に違反する広告
七 弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告

(表示できない広告事項)
第四条
弁護士等は、次に掲げる事項を表示した広告をすることができない。
一 訴訟の勝訴率
二 顧問先又は依頼者。ただし、顧問先又は依頼者の書面による同意がある場合を除く。
三 受任中の事件。ただし、依頼者の書面による同意がある場合及び依頼者が特定されず、かつ、依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。
四 過去に取り扱い、又は関与した事件。ただし、依頼者の書面による同意がある場合及び広く一般に知られている事件又は依頼者が特定されない場合で、かつ、依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く。

(訪問等による広告の禁止)
第五条
弁護士等は、面識のない者(現在及び過去の依頼者、友人、親族並びにこれらに準じる者以外の者をいう以下同じ)に対し、訪問又は電話による広告をしてはならない。ただし、次に掲げる場合はこの限りでない。
一 法律事務の依頼を希望する者から請求があった場合
二 刑事事件又は少年事件について、本人以外の弁護人選任権又は付添人選任権を有する者から請求があった場合
三 公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合

2 弁護士等は、面識のない者に対し、その者の承諾を得ないで、電子メールによる広告をしてはならない。

(特定の事件の勧誘広告)
第六条
弁護士等は、特定の事件の当事者及び利害関係者で面識のない者に対して、郵便その他これらの者を名宛人として直接到達する方法で、当該事件の依頼を勧誘する広告をしてはならない。ただし、公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合については、この限りでない。

(有価物等供与の禁止)
第七条
弁護士等は、広告の対象者に対し、社会的儀礼の範囲を超えた有価物等の利益を供与して広告をしてはならない。

(第三者の抵触行為に対する協力禁止)
第八条
弁護士等は、第三者が弁護士又は弁護士法人の業務に関して行う情報の伝達又は表示行為でこの規程に抵触するものに対し、金銭その他の利益を供与し、又はこれに協力してはならない。

(弁護士等の表示)
第九条
弁護士は、広告中に次に掲げる事項を表示しなければならない。
一 氏名(職務上の氏名を使用している者については、職務上の氏名をいう。以下同じ) 。
二 所属弁護士会

2 弁護士法人は、広告中に次に掲げる事項を表示しなければならない。
一 名称
二 主たる法律事務所の名称又は広告に係る従たる法律事務所の名称
三 所属弁護士会(複数の弁護士会に所属するときは、主たる法律事務所の所在する地域において所属する弁護士会又は広告に係る従たる法律事務所の所在する地域において所属する弁護士会を表示することをもって足りる) 。

3 弁護士等が共同して広告をする場合は、当該広告を代表する者が、弁護士のときにあっては第一項各号に掲げる事項を、弁護士法人のときにあっては前項各号に掲げる事項を、それぞれ表示することをもって足りる。

(通信手段により受任する場合の広告記載事項)
第九条の二
弁護士等は、電話、電子メールその他の通信手段により法律事務を受任する場合について広告をするときは、前条に規定する事項のほか、次に掲げる事項を表示しなければならない。
一 受任する法律事務の表示及び範囲
二 報酬の種類、金額、算定方法及び支払時期
三 委任事務の終了に至るまで委任契約の解除ができる旨及び委任契約が中途で終了した場合の清算方法

(広告であることの表示)
第十条
弁護士等が、郵便又はこれに準ずる方法により、面識のない者に対し直接配布する広告物については、封筒の外側又は広告物の表側若しくは最初の部分に、広告であることを表示しなければならない。


外国法事務弁護士等の業務広告に関する規程(PDF) 日本弁護士連合会
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/pdf/kaiki/kaiki_no_45_160606.pdf


業務広告に関する指針(PDF) 日本弁護士連合会
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/pdf/kaiki/kaiki_no_45.pdf

「第3 規程第3条の規定により規制される広告」より抜粋

2 規程第3条第1号―事実に合致していない広告
事実に合致していない広告として規程第3条第1号に違反するものは、次に掲げる例その他事実に合致しない事項が記載されたもの一切とする。

(1) 虚偽の表示次に掲げる表示等
ア経歴等を偽った表示
イ実在しない人物の推薦文

(2) 実体が伴わない団体又は組織の表示これからメンバーを集めて組織しようとしているような場合において「・・・準備会」等と正確に表示せず、又は実体が伴わないにもかかわらず、「・・・弁護団」、「・・・研究会」等と団体名を表示すること。

3 規程第3条第2号―誤導又は誤認のおそれのある広告
誤導又は誤認のおそれのある広告として規程第3条第2号に違反するものの例は、次の各号に掲げる表現であって、当該各号に定めるとおりとする。

(1) 交通事故の損害賠償事件の件数を損害賠償事件取扱件数に含めて延べ件数を表示し、あたかも損害賠償事件全般について習熟しているかのような印象を与える表現「過去の損害賠償事件取扱件数○○件航空機事故はお任せ下さい。」

(2) 他の事件を例として掲げ、その例と同じような結果をもたらすと思わせるような表現「交通事故で1億3,000万円を獲得しています。あなたも可能です。」

(3) 弁護士報酬についての曖昧かつ不正確な表現「割安な報酬で事件を受けます。」

4 規程第3条第3号―誇大又は過度な期待を抱かせる広告
誇大又は過度な期待を抱かせる広告として規程第3条第3号に違反するものの例は、次に掲げるとおりとする。

(1) 「当事務所ではどんな事件でも解決してみせます。」

(2) 「たちどころに解決します。」

5 規程第3条第4号―困惑させ、又は過度な不安をあおる広告
困惑させ、又は過度な不安をあおる広告として規程第3条第4号に違反するものの例は、次に掲げるとおりとする。

(1) 「今すぐ請求しないとあなたの過払金は失われます。」

(2) 強硬な取立ての状況の体験記を記載する等して、債務整理の依頼をしないとあたかも同様の状況に陥るかのように不安にさせて勧誘する広告

6 規程第3条第5号―特定の弁護士等又はこれらの事務所と比較した広告
特定の弁護士等又はこれらの事務所と比較した広告として規程第3条第5号に違反するものの例は、第1号に掲げるとおりとする。第2号に掲げる例等弁護士等の氏名(職務上の氏名を使用している者については、職務上の氏名を含む)若しくは名称又は事務所の。名称が表示されていない場合であっても、全体的な表現から特定の弁護士等又はこれらの事務所を指しているものと認められるときは、同様とする。

(1) 「○○事務所より豊富なスタッフ」
(2) 「○○を宣伝文句にしている事務所とは異なり、当事務所は○○で優れています。」

7 規程第3条第6号―法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告
法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告として規程第3条第6号に違反するものの例は、次に掲げるとおりとする。

(1) 法令に違反する広告の例
ア次に掲げる弁護士法又は特別措置法に違反する広告
(ア) 広告内容に問題があるか否かにかかわらず、弁護士法第72条から第74条までの規定に違反する者との提携関係の実態が認められる弁護士等が行う広告。ただし、当該提携関係にある業務と無関係な業務に係るものを除く。
(イ) 弁護士法第72条から第74条までの規定に違反する者に自己の名義を使用させて行う広告
(ウ) 他士業その他弁護士等でない者と共同して行う広告であって、当該弁護士等でない者があたかも弁護士等と共同して権限を超えた法律事務を取り扱うことができるかのように表示された広告
(エ) 登録している事務所のほかに名称等の如何を問わず、法律事務取扱いの本拠と見られる別の連絡先(外国法事務弁護士及び外国法事務弁護士法人にあっては、国内のものに限る。)を記載する弁護士法第20条第3項又は特別措置法第45条第5項に違反する広告
(オ) 弁護士又は弁護士法人と外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人が共同して行う広告であって、当該外国特別会員が適法に取り扱うこと
ができる法律事務の範囲が明示されず、原資格国法又は特定外国法に関する法律事務しか取り扱うことができないことが明らかでないもの
イ不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)に違反する広告その他刑罰法規違反、名誉毀損・信用毀損、プライバシー侵害、著作権・商標権侵害となる広告

(2) 弁護士職務基本規程又は外国法事務弁護士職務基本規程に違反する広告の例
ア裁判官や検察官と一定の関係にあることを示唆して、事件が有利に運ぶような期待を抱かせる表示を含む広告
イ広告内容に問題があるか否かにかかわらず、他士業その他弁護士等でない者と正当な理由なく弁護士等の報酬を分配する実態が認められる弁護士等が行う広告。ただし、当該報酬分配に係る業務と無関係な業務に係るものを除く。

(3) 法律事務所等の名称等に関する規程(会規第75号)又は外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する規程(会規第76号)に違反する広告の例弁護士等の事務所の名称とは別に「○○交通事故相談センター」、「○○遺言相続センター」等別の組織、施設等の名称を用い、法律事務所等の名称等に関する規程第6条若しくは第13条又は外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する規程第6条若しくは第9条の6の複数名称の禁止等に違反する広告

8 規程第3条第7号―弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告
弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告として規程第3条第7号に違反するものの例は、次に掲げるとおりとする。

(1) 違法行為若しくは脱法行為を助長し、又はもみ消しを示唆する次に掲げる表現を含む広告
(ア)「法の抜け道、抜け穴教えます。」
(イ)「競売を止めてみせます。」

(2) 奇異、低俗又は不快感を与える次に掲げるもの
(ア)「用心棒弁護士」との表現を含む広告
(イ) ことさら残酷又は悲惨な場面を利用した広告

9 規程第3条第2号及び第3号―複合例
弁護士等の選択にとってあまり重要でない事項をあたかも重要であるかのように強調して第1号に掲げる例のように表示する広告又は不正確な基準を用いて実際よりも優位であるかのような印象を与えるような、実際は保釈請求件数であるにもかかわらず第2号に掲げる例のように表示する広告は、規程第3条第2号及び第3号に違反するものとする。

(1) 「○○地検での保釈ならお任せ下さい、元○○地検検事正」
(2) 「保釈の実績○○件、保釈なら当事務所へ」

10 キャッチフレーズ
キャッチフレーズは、表現が抽象的でかつ説明が十分でないことから、広告の受け手に対し、誤解や過度な期待を与えかねないため、広告にキャッチフレーズを用いるときは、規程第3条第2号及び第3号の規定に鑑み、その表現に十分注意しなければならない。ただし、次に掲げる例のような表示は、事実に反しない限り許されるものとする。

(1) 「市民の味方です。」
(2) 「懇切丁寧にやります。」
(3) 「闘う弁護士」
(4) 「モットーは迅速第一」

11 役職、経歴等に関する表示
次に掲げる役職、経歴等に関する表示の例は、第1号に掲げるものにあっては規程第3条第1号及び第7号の規定に、第2号に規定するものにあっては規程第3条第2号及び第3号に違反するものと判断するものとする。

(1) 実体のない団体、ほとんど活動していない団体又は弁護士等に対する社会的信頼・信用を損なわせる団体の役職又は経歴を表示すること。

(2) 役職又は前履歴を表示し、その役職又は前履歴によって特に有利な解決が期待できることを示唆する次に掲げる例のような表示
(ア)「元特捜部検事検察庁に対する押しが違います。」
(イ)「○○家庭裁判所の調停委員○○家庭裁判所に顔がききます。」

12 専門分野と得意分野の表示

(1) 専門分野は、弁護士等の情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項である。一般に専門分野といえるためには、特定の分野を中心的に取り扱い、経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解されるが、現状では、何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。専門性判断の客観性が何ら担保されないまま、その判断を個々の弁護士等に委ねるとすれば、経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害も生じるおそれがある。客観性が担保されないまま専門家、専門分野等の表示を許すことは、誤導のおそれがあり、国民の利益を害し、ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあるものであり、表示を控えるのが望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト、プロ、エキスパート等といった用語の使用についても、同様とする。

(2) 得意分野という表示は、その表現から判断して弁護士等の主観的評価にすぎないことが明らかであり、国民もそのように受け取るものと考えられるので、規程第3条第2号又は第3号に違反しないものとする。ただし、主観的評価であっても、得意でないものを得意分野として表示する場合は、この限りでない。

(3) 豊富な経験を有しないが取扱いを希望する分野として広告に表示する場合には、次に掲げる例のように表示することが望ましい。
(ア)「積極的に取り組んでいる分野」
(イ)「関心のある分野」

(4) 次に掲げる表示は、専門等の評価を伴わないものであって、規程第3条第2号及び第3号に違反しないものとする。
(ア)「取扱い分野」
(イ)「取扱い業務」

13 広告中に使用した場合、文脈によって問題となり得る用語
次に掲げる用語は、広告中に用いる場合には、文脈により、事実に合致しない広告、誤導又は誤認のおそれのある広告、誇大又は過度な期待を抱かせる広告等に該当することがあるので、これらの用語の使用については十分注意しなければならない。

(1) 「最も」、「一番」その他最大級を表現した用語
(2) 「完璧」、「パーフェクト」その他完全を意味する用語
(3) 「信頼性抜群」、「顧客満足度」その他実証不能な優位性を示す用語
(4) 「常勝」、「不敗」その他結果を保証又は確信させる用語



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■このページの著者:金原 正道

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