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人事・労務の業務 |2023年10月29日

少子高齢化による生産年齢人口の減少などを背景として、企業の人手不足感が慢性的に高まっています。
全規模・全産業の推移をみると、人手不足感が趨勢的に高まり、2019年3月期の段階での調査の値は1990年代初頭のバブル期に次ぐ水準の高さとなりました。
その後に世界的な感染症などの影響があったものの、人材不足に伴う企業の人材採用、雇用環境などの課題は変わりません。
特に、非製造業を中心とする中小企業において、人手不足感が高いことが明らかにされています。

令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について 外部サイトへ厚生労働省

同上「第3節 人手不足が企業経営や職場環境に与える影響について」[PDF形式:865KB] 外部サイトへ厚生労働省

これからの企業の人事・労務担当部署の課題

中小企業・小規模事業者をはじめ、今や大企業においても、深刻な人手不足に直面しています。
背景に少子高齢化という構造的な問題があることから、今後も人手不足が続くと想定されます。
特に中小企業、小規模事業者にあっては、人材不足に加えて、物価上昇や賃金の上昇、最低賃金の引き上げや社会保険負担など、事業環境が厳しいところも多くあるようです。
一方で、働き方改革や、リモートワークなどの制度的な課題もあり、懸命に採用活動に取り組んだとしても、それだけで人手不足の解消はできません。

人材を確保するためには、組織・業務を時代の変革に合わせ、職場環境を整備することや、経営課題の見直すことが重要です。

そのためには、組織改革、業務フローの見直し、職場環境の整備、働き方改革、リモートやフリーランス等の活用、AIによる業務効率化なども視野に入れた業務改革を視野に入れましょう。

これからの人事・総務・労務の業務のポイント

人事・労務の仕事は、企業における人材採用、印材配置・育成、人事評価、給与・福利厚生制度の整備、労務管理などを行う業務です。

人事担当部署

人事業務では、大きく分けて次の仕事を担当することになります。

  • 人材採用:人材の募集・選考・採用
  • 人材育成:人材の教育・研修、能力開発
  • 配属の決定:人材配置・異動・役職変更

労務担当部署

労務業務では、労働基準法や労働安全衛生法などの法令を遵守し、給与・福利厚生の管理、労働時間・休暇の管理、労働トラブルへの対応等を担当することになります。
中小企業では、人事・労務、あるいは総務も含めて兼任部署としていることも多いでしょう。

労務の業務では、次のような仕事を担当することになります。

  • 社内規定・雇用契約の整備:給与・福利厚生規定や労働契約書の整備
  • 給与・福利厚生の管理:給与計算・賞与計算・福利厚生業務
  • 労働時間・休暇の管理:勤怠管理・休暇管理業務
  • 労働トラブルへの対応:労働基準監督署・社内トラブル対応、労使紛争への対応

人手不足や働き方改革などの趨勢に応じて、人材の採用、配置、活用、待遇の改善・見直し、業務改革を行うことで、企業に不可欠な人事・労務の課題を解決することが経営においては重要です。

人材採用の見直しのヒント

人材の採用は、公共職業安定所や、民間の求人媒体などを通じて、募集を行い必要な人材を獲得する業務です。
人材の募集、選考、採用のプロセスで採用を行います。

人材募集:求人広告の掲載、人材紹介会社への依頼、求人イベントへの参加
人材選考:適性検査、書類選考、面接審査、コンプライアンスチェック
人材採用:内定・入社、インターンシップ

採用が思うようにできないとき、人手不足が解消しないときには、採用方法や条件を見直すことも検討する必要があるかもしれません。

給与体系・職責・働き方の見直し

正規社員・非正規社員の別、フレックスタイム制やリモートワークの導入、週休3日制や労働時間の弾力化など、給与体系のほかにも、多様な働き方が可能な制度を検討する方法があります。

適切な求人メディアの選択

新卒採用、中途採用などに応じた求人メディアの選択、人材紹介会社の選定などのほかにも、今日では様々な求人媒体があります。
たとえば、一般的な雇用関係だけではなくフリーランス、請負契約などの形態で人材採用ができるメディアや、リモートワーク等の特徴ある求人を掲載する媒体などがあります。

クラウドソーシングの仲介を行うサイトでも、さまざまな契約形態の人材募集ができる場合があります。

人材育成・配置の見直しのヒント

人材育成は、企業に所属する従業員の研修、能力開発を担当する業務です。
教育・研修・OJTの実施、キャリア開発や能力開発の支援などがあります。

人材配置は、企業に所属する従業員を適材適所に配置・配属させ、人材評価、人材配置の適正化を行います。

従業員のモチベーション強化

正規社員・非正規社員の別、フレックスタイム制やリモートワークの導入、週休3日制や労働時間の弾力化など、給与体系のほかにも、多様な働き方が可能な制度を検討する方法があります。

給与体系・職責・働き方の見直し

フレックスタイム制やリモートワークの導入、成果給や能力給その他のインセンティブ体系の見直し、社内独立制度・副業解禁などの制度の検討など、一般的な配置・転換のほかにも、多様な働き方が可能な制度を検討する方法があります。

アウトソーシングやフリーランスの活用

社内の業務プロセスを見直し、アウトソーシングやフリーランスなど外部人材も活用することにより、社内業務を効率化して、従業員の役割分担を見直すこともポイントです。

DX・AIの活用・導入による業務効率化・省力化

社内の業務プロセスを見直し、業務をデジタル化できる部分を各種のDXツール導入により効率化する方法があります。
中小企業や個人事業主でも気軽に導入しやすいDXツール、クラウドツールも多様化し、社内人材のデジタル業務への適応を促進することも、業務効率化と人材不足への対応としては重要です。

人事・労務の仕事をクラウドツールで効率化するには |2023年11月09日

正社員、アルバイトやパートの別にかかわらず、企業が従業員を雇用したときは、人事・労務の業務が発生します。

従業員の人事データを管理し、雇用契約に従い給与計算を行い、労働保険・社会保険・有給休暇などの管理や手続きをする必要があります。

人事・労務ツールは、これらの業務を効率化できるソフトウェアで、手軽に導入できるクラウドツールが便利です。
企業規模や形態に応じたツールを選んで導入し、コストに見合った機能を使うことで、人事・労務管理コストを抑えつつ適切な管理をすることができます。

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給与計算の業務の流れ

給与計算業務は、次の流れで業務が進められます。

従業員データの管理

従業員の入社に伴い、雇用契約がされます。
雇用契約および就業規則では、各従業員の職種や職階のほか、給与の支給方法や支給額の計算、残業代や休日出勤、有給休暇、その他の事項が決められています。
給与計算の算定の基礎や、人事・労務情報として管理されるデータのもととなる事項です。

人事・労務情報をクラウドツールその他のソフトウエアやデータベースで管理する場合には、データの入力と、変更があった時の更新をしなければなりません。

勤怠情報の集計・管理

給与計算にあたっては、勤怠情報を集計する必要があります。
出勤日数や、遅刻・早退、残業、休日出勤をタイムカードの打刻や、スマホ入力その他のデジタルでの入力により記録します。

給与計算

給与計算では、就業形態により月払いのほか、月2回支給や毎週の支給などの場合もあります。
支給額の計算では、基本給などの固定給や、アルバイト等の時間給のほか、各種手当などを加算して算出をします。
支給額から労働保険料、社会保険料、所得税・地方税の源泉徴収などの控除額を差し引いて、実際の支給金額を計算します。

給与計算ソフトを使用して計算する場合には、これらは自動的に計算され、必要な各種帳票が作成されます。

給与明細作成・振込

給与支給日には給与明細を作成し、従業員に配布します。
クラウドの給与計算ツールでは、WEB明細で発行されるものも多くあります。

銀行振込での給与支払いには、全銀システムデータを作成する必要があり、これに対応した給与計算ツールもあります。

社会保険・労働保険事務

各従業員の社会保険料、労働保険料は、年度更新が必要です。
これらの手続きは社会保険労務士に依頼する必要があり、書類作成や、提携する社会保険労務士を紹介しているクラウドツールのサービスもあります。

従業員の給与から控除した社会保険料、労働保険料は、所定の期日までに納付をする必要があります。

所得税・地方税事務

従業員の給与から源泉徴収した所得税、地方税は、所定期日までに納付しなければなりません。

年末調整

年末調整は、その年の年末最後の給与振り込み前に源泉徴収した税額と、年末最後の給与に基づき計算される実際の税額との差額を、年末の給与計算で調整する作業です。
従業員の扶養家族や生命保険料などの所得控除の情報を、各従業員から申告してもらい、各人ごとに計算する面倒な業務です。

年末調整を給与計算ツールで行うこともできます。

有給休暇等の管理・更新

従業員ごとの有給休暇残などのデータも、適切に逐次更新し、管理しなければなりません。

勤怠管理&給与計算ツール

給与計算事務は年間を通じて大変煩雑な作業です。
クラウドツールを利用して自動計算を行うことで、業務を効率化することができます。

給与計算ツールには、多くのクラウドツールのほか、PCインストール型のソフトも数多くあります。
また勤怠管理のみに特化したクラウドツールもあります。

とりわけ便利で業務効率化ができるのは、人事・勤怠管理・給与計算が連携して一体となったクラウドツールです。
ここでは代表的な勤怠管理&給与計算ツールについて、主要機能やメリット、料金などを紹介します。

人事労務freee

人事労務freeeは、株式会社freeeが提供する、労務管理と給与計算が一つになったクラウドソフトです。
freeeでは、クラウド会計ソフトの提供も行っており、データ連携して利用することも可能です。

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人事労務freeeの特徴

給与計算・社会保険の加入・年末調整など、人事・労務・給与計算に共通して参照するデータは、ツール側でのデータ連携機能により、一回の入力で使えるため、転記ミスがなくなり、計算や書類作成を自動化できます。

最新の法令・税制に対応して自動でアップデートされるため、担当者がバージョンアップ作業をする必要がありません。

従業員のマイナンバー管理、給与明細の配布など、重要な個人情報の取り扱いも、最新のセキュリティ技術と高水準のシステム運用体制で、安心して作業をすることができます。。

勤怠管理による勤務・残業時間の把握、入退社手続きなどの定型的な労務管理を効率化でき、業務を効率化できます。

人事労務freeeの機能・勤怠管理

スマホ、携帯電話から出退勤の打刻をクラウドでできるほか、共有端末打刻、ICカード打刻機、ICカードリーダー、指紋・静脈認証などに対応しています。
位置情報も取得できるため、直行直帰やテレワークにも最適です。
勤怠データはクラウドに保管されるため、リアルタイムに勤務状況を把握でき、データ集計も自動で行われます。
WEB上から打刻修正、残業などの申請・承認を行うことができ、残業届、遅刻・早退届などをペーパーレス化できます。
管理者、従業員ともに勤務状況をタイムリーに一覧で確認することができます。
さらに、日、週、月、任意の期間単位で従業員の出勤シフトを作成することが可能です。

人事労務freeeの機能・給与計算

給与計算機能では、勤怠データの集計を参照して、従業員情報、最新の税率・料率をもとに、給与計算、労働保険料・社会保険料・源泉徴収税額などの控除金額計算ができます。

登録された勤怠情報と就業規則をもとに、法定内・法定外残業や深夜労働、法定休日労働の割増率を自動適用し、残業代を産出して、法律に準拠した給与計算を行なうことが可能です。
社会保険料は、そのときの税率や従業員の年齢、給与額に応じた等級をもとに計算し、社会保険料の計算間違いや未払いを防ぎます。
源泉所得税は、課税所得を自動で算出し、所得税率や扶養親族等の人数から正しい所得税額を自動で計算します。

給与明細・賞与明細、法定三帳簿(賃金台帳・労働者名簿・出勤簿)、所得税徴収高計算書の作成ができます。
給与明細の発行・配布・管理がWEBで完結し、PDFで出力し、印刷することも可能です。

人事労務freeeの機能・入退社手続

従業員の入社手続についても、従業員情報とマイナンバーの登録で、労務管理や給与計算に必要な情報が管理できます。
収集した情報を自動で転記して、社会保険・雇用保険の加入に必要な書類を自動で作成可能です。
入社時に必要な各種契約書の電子化にも対応し、締結後の書類はオンラインで保管・共有できます。

人事労務freeeの機能・マイナンバー管理

厳重な管理が必要なマイナンバーは、金融機関並みの通信・暗号化でセキュリティ体制で保管します。

人事労務freeeの機能・年末調整

年末調整に必要な従業員のデータは、WEB上のアンケートに回答するだけで必要書類への記入ができるため、担当者の手間が軽減され業務効率化できます。

人事労務freeeの料金

スタータープランは、5名までが月払い月額3,900円(税抜)、 年払いで月額3,000円(税抜)です。
6名以降は1名ごとに月額600円が加算されます。

スタンダードプランは、5名までが月額5,200円(税抜)、年払いで月額4,000円(税抜)です。
6名以降は1名ごとに月額800円が加算されます。

その他のプランもあり、freee人事労務のサイトでは、料金プランごとの機能など詳細な情報が説明されています。

マネーフォワードクラウド

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マネーフォワードクラウドは、株式会社マネーフォワードが提供する、労務管理と給与計算が一つになったクラウドソフトです。
マネーフォワードでは、クラウド会計、クラウド経費、クラウド給与、その他の多数のクラウドツールを扱っており、データ連携して利用することが可能です。

マネーフォワードクラウドの特徴

株式会社マネーフォワードが提供するツールのうち、人事労務の業務では、次のソフトを組み合わせて利用でき、データを共通して利用できるため、企業規模や必要な機能に応じ導入して、業務効率化に役立てることが可能です。

MoneyForwadr クラウド給与 給与計算ソフト
MoneyForwadr クラウド勤怠 勤怠管理システム
MoneyForwadr クラウド年末調整 年末調整ソフト
MoneyForwadr クラウド社会保険 社会保険手続きソフト
MoneyForwadr クラウドマイナンバー マイナンバー管理システム

マネーフォワード クラウド勤怠

クラウド勤怠は、出退勤管理をデジタルデータでクラウド管理し集計します。
パソコンやスマートフォン打刻に加え、打刻機を使ったICカード打刻にも対応し、タイムカードからのデジタル移行ができます。
基本勤務制・シフト制・裁量労働制・フレックスタイム制など、就業ルールに応じた勤怠管理が可能です。

任意項目の自動集計や、従業員のシフト管理、有給休暇管理などもできます。
さらに人事・労務のデータとして異動履歴の管理ができ、遅刻・早退・欠勤・残業・休日出勤・休暇の申請や承認も、すべてWEBで完結できます。
法令・36協定の遵守状況などもアラート管理が可能です。

マネーフォワード クラウド給与

クラウド給与は、給与計算から給与明細の発行までを行い、勤怠管理データの取得や支給額・控除額の自動計算で業務を効率化します。

支給額・控除額の計算は、給与計算対象者の自動判定、各種保険料や所得税などの自動計算を行い、計算式のカスタマイズが自由にできます。
支給・控除項目の前月との差分を一目で確認でき、間違いや異常値を判断できます。

給与明細給与明細の発行はオンラインででき、銀行振込データの出力や、他社の勤怠管理システムとのデータ連携も可能です。

マネーフォワード クラウド年末調整

クラウド年末調整では、書類の配布・回収から年税額の計算、行政機関への電子手続きまで、年末調整の業務すべてをクラウド化することができます。

従業員からはオンライン上のアンケートで年末調整に必要な書類の情報を回収でき、提出状況や処理状況のステータス管理も可能です。

マネーフォワード クラウド社会保険

マネーフォワード クラウド社会保険は、社会保険手続きに必要な書類作成ができ、提出書類の電子申請に対応しています。

入退社などの社会保険届出書や、各種届出の電子申請に対応し、PDF出力もできるため紙での申請にも対応しています。

マネーフォワード クラウドマイナンバー

クラウドマイナンバーは、クラウドでマイナンバー管理を行います。
本人確認はスマホ撮影で行い、ワンタイムパスワード形式で取引先や株主のマイナンバーも収集できます。
クラウド給与と連動して、源泉徴収票等の法定調書への印字が可能です。

マネーフォワードクラウドの料金

小規模事業者向けのプラン「スモールビジネス」は、年払いで35,760円(月額2,980円)、月払いで月額3,980円です。

中小企業向けのプラン「ビジネス」は、年払いで59,760円(4,980円)、月払いで月額5,980円です。

IPO準備企業や中堅・上場企業向けには問い合わせをすれば企業規模等に応じた見積ができます。

勤怠管理&給与計算のアウトソーシング

勤怠管理と給与計算を、まるごとアウトソーシング企業に外注することもできます。

代表的な例として「Remoba労務」「Remoba経理」で説明します。
「Remoba労務」は、クラウドサービスに精通したオンラインワーカーが、各種クラウドサービスを使って勤怠管理と給与計算を行います。

Remoba労務の特徴

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Remoba労務では、勤怠管理から給与計算、入社手続き、退社手続きといった煩雑な業務を行います。

労務管理は、労務管理クラウドサービスを活用することで、効率的にクラウドで管理、集計できます。
労務担当を雇用した場合に比べ安価なコストで労務業務を任せることができます。

Remoba労務では、提携する顧問社会保険労務士と連携し、チェックや相談等をすることも可能です。

人事・労務

入社手続き、入社前の案内・情報収集、退職手続き、人事マスタの管理・変更、社会保険事務の社労士とのやり取り、回収連絡などが可能です。

勤怠データの集計、勤怠申請のリマインド、有給休暇のリマインド、残業アラートなども行います。

給与計算

月次給与計算、賞与計算、明細の発行・配布、年末調整の補助などが可能です。
住民税額の管理

対応クラウドサービス

人事労務freee、マネーフォワードクラウドをはじめ、勤怠管理・給与計算のさまざまなクラウドツールに対応しています。
クラウドツールのため、自社と外注先でのデータ共有、WEB上での確認が可能です。

料金プラン

月額180,000 円の年間プランなどがあり、問い合わせをして見積をすることができます。


■このページの著者:金原 正道

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