エネルギー白書2022の閣議決定 |2022年06月08日
2022年6月7日、令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)が閣議決定されました。
エネルギー白書2022は、資源エネルギー庁にて公開されています。
エネルギー白書 資源エネルギー庁
エネルギー白書は、エネルギー政策基本法に基づく年次報告で、今年で19回目の公表となります。
第1部では、その年の動向を踏まえた分析がされています。
本年は、東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故を受けての福島復興の進捗状況と、福島新エネ社会構想、カーボンニュートラル実現に向け、脱炭素を巡る世界の動向と日本の対応、新型コロナウィルス感染症によるエネルギー需給への与えた影響、エネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ情勢などに言及がされています。
2021年、世界各地で電力需給が逼迫
第2部は内外エネルギーデータ集、第3部は施策集となっています。
世界的なエネルギー価格の高騰
新型コロナからの経済回復、特に欧米が先行する脱コロナの進展と、米国をはじめ各国の利上げなどを背景として、資源・エネルギー価格の上昇が、2021年から目立っています。
そこにロシア・ウクライナ情勢や、日本でもアフターコロナの機運が出てくることも重なって、2022年に入りさらにエネルギー価格が高騰しています。
欧州は、天然ガスに代表される化石燃料をロシアに大きく依存しており、天然ガスのスポット価格の高騰が欧州の長期契約分の高騰に直結しました。
さらにロシアに対する経済制裁の影響はこれからまだ大きく継続するものと予想されています。
欧州では、イギリス、オランダ、ドイツで2倍超となるなど、化石燃料の輸入価格が急上昇し、今後の動向にも懸念がもたれています。
一方、国産資源に乏しい日本は、世界的な資源・エネルギーの影響から逃れることはできないものの、相対的にはまだ上昇幅が低いものとなっています。
エネルギー白書2022では、EU、英国、米国、日本、ドイツ、フランス、イタリアの7か国・地域で、電気代の推移を示しています。
2019年1月を100として、2022年3月までにイタリアは177、EU全体では140、英国では125、米国は114、日本が110となっています。
国内の電力需給ひっ迫懸念
東京電力の7月の家庭向け電気料金は、11か月連続の上昇となり、中部電力や北海道電力、九州電力なども7月に値上げを予定しています。
電気料金は、大手電力会社10社による燃料費調整制度によって、3~5か月前の燃料費をもとに調整されることもあり、今後の上昇継続が懸念されています。
一方で国内の電力需給ひっ迫が見込まれており、事業所や一般家庭への節電要請や、大口需要者である大企業・工場に対する使用制限令なども検討しています。
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■このページの著者:金原 正道