探偵事務所の浮気調査はどんな仕事? |2022年08月14日
「訴訟や調停のために証拠収集するには? 証拠がないときに探偵に依頼できる?」においては、民事訴訟をしたいけど、証拠がない、証拠が足りないときに、主張を裏づけるための証拠集めが必要であることについて説明しました。
不法行為の例としてはたとえば、誹謗中傷の書き込みや、器物損壊、既婚者との不倫、ストーカーやいじめ、その他の例をあげました。
他人の権利または法律上保護される利益が侵害された事実は、裁判官に認定してもらうため、あるいは証拠を突き付けて交渉を有利にするためには、証拠が必要ということになるわけです。
証拠集めに重要な役割を担うのが、探偵事務所です。
それでは、探偵事務所はどのような業務を行い、依頼者からの仕事を行っているのでしょうか。
浮気調査で必要な証拠は?
探偵事務所が取り扱う案件で、一番多いのは浮気調査、不倫などの証拠集めだそうです。
証拠を集める目的は、まずは浮気の疑いがあって、事実関係を調査することから始まるということもあります。
さらに慰謝料請求や、離婚調停、訴訟のための確たる証拠として必要となると、証拠能力の高い確実なものが必要となります。
慰謝料請求には、破綻していなかった婚姻関係が必要
ところで、浮気というと、普通の恋人同士の関係でも使われる言葉です。
ただし、慰謝料請求が成立するためには、内縁関係があるなどの例外はあるものの、一般には婚姻関係が成立し、しかも破綻していない夫婦であることが必要です。
慰謝料とは
慰謝料は、不法行為(民法第709条)による損害に対する賠償の意味をもち、不貞行為があれば法律上の不法行為が成立するという判例が作られてきました。
それまで破綻していなかった婚姻関係にある配偶者が、不貞行為により精神的苦痛を被ったことが、要件となるわけです。
この不貞行為については、相手と肉体関係があること、それと同等の関係にあることが必要です。
そこで探偵事務所の出番となります。
必要な証拠
「浮気の現場を押さえる」ということはつまり、この不貞行為の証拠を確保することです。
具体的には、典型的な証拠としては、ラブホテルを出入りする写真、相手あるいは自宅に出入りする写真などが、一定時間を2人一緒に過ごしたことの証拠などとなります。
旅行、シティホテルでの滞在や宿泊も、同様に証拠となります。
こうした状況を撮影し、時には録音、録画するなどの仕事は、たいへん粘り強い労力がいるものだと想像できます。
探偵事務所は証拠を確保するためにどんな仕事をしている?
探偵事務所が浮気調査をする場合、不貞行為の現場を押さえる以外の調査はしないのかというと、そんなことはありません。
たとえば、食事や買い物、ドライブなどの、日常的な接触状況についても、可能な限り撮影します。
間接証拠も必要
これらは、不貞行為に直接かかわるものではありません。
それでは、なぜこうした調査をするのでしょうか?
もちろん、いつホテルなどに行くかは事前に予測できないということもあります。
しかし、たとえば普段の様子や、可能であれば会話などから、2人の関係がわかったりすることがあるからです。
こうした様子も撮影し、可能であれば一緒に飲食店に入るなどして、食事中の会話なども確認します。
そもそも、ホテルや自宅の出入りを証拠で押さえても、部屋の中の様子までを確認したわけではありません。
よくある相手側の言い訳として、「仕事の打ち合わせや資料作りのためにホテルの部屋を借りた」、「人には言えない相談にのってもらっていた」といった話が出てきます。
こうした相手側の主張を崩すために、普段の様子も証拠として確保しておくことは、相手の主張を間接的に否定し、相手の主張が事実ではないと推認させることに役立ちます。
このように、主要事実を証明するものではないが、主要事実の存在を推定させる事実のことを間接事実と言いますが、これを証明する証拠のことを、間接証拠といいます。
当事者に関する調査も
浮気相手が誰で、どのような人物であるか、家庭環境はといったことも調査します。
相手の名前・住所・勤務先などの確認のためです。
これらの情報は、慰謝料請求や、調停、訴訟などの際には必要です。
探偵の一日
夫の浮気が疑われる案件で、依頼者の女性からご相談をいただき行った、浮気調査のケースでの探偵の一日をご紹介します。
夫は仕事をしているはずの平日午後でしたが、営業マンで外出が多く、そのまま自宅に直帰することもあるため、夕方から行動をチェックしました。
依頼者に調査開始の時間と場所を連絡し、調査に臨みます。
調査対象者を確認し、行動をチェックしました。
予想通り、未だ夕方7時前だというのに、女性と合流し、買い物などをしながら、2人の様子などを撮影します。
その後、買い物などをしながら、繁華街の外れに向かい、2人は飲食店に入ります。
食事の際の様子や、会話などを、気づかれないようにチェックします。
必要であれば、行動確認をする探偵が交代し、気づかれないように細心の注意を払います。
この日は、週末であったため、依頼者から聞いていた普段の生活サイクルなどから、怪しいとにらんでいた通り、その後2人はホテルに入りました。
このような場合、決定的な浮気の証拠となりますが、単に入るところを撮影するだけでなく、出てくるところまでを確認することで、滞在時間なども証拠となります。
依頼者へのリアルタイム報告
必要に応じ、依頼者に報告を入れます。
この日は現場を押さえたところで調査を終了し、後日、相手が誰なのかを確認するための調査を引き続き行います。
調査費用
このような調査の場合、対象者の行動があらかじめ予測できないため、調査費用がどうなるのか、不安を抱く依頼者が多いのも当然です。
そこでたとえば、大阪の探偵事務所、ネクスト・ドア探偵事務所では、浮気調査や身辺調査等が低料金で依頼できる、定額の成功報酬制プランなども用意しています。
弁護士とも提携し、法的価値のある決定的な証拠を収集する調査をしています。
調査費用についての留意点
探偵事務所、興信所の調査費用は、調査にどれだけの時間がかかり、証拠をいつ押さえられるのか、不確定な部分もあります。
依頼者の了解なしに、むやみに多額の人件費をかけることもできません。
十分な打ち合わせと、依頼者への報告、説明をすることで、ネクスト・ドア探偵事務所では依頼者に寄り添った対応を心がけているとのことでした。
上述した探偵の一日の例でも、事前の面談・打ち合わせを綿密に行い、調査中は現場調査員と連絡を取り、依頼者がリアルタイムの画像を確認できるようにしていました。
調査の継続や終了の指示が行えるため、調査時間を抑えられ、しかも調査の成功確率も上がります。
探偵事務所を選ぶ際の確認事項
探偵事務所を選ぶときには、一般社団法人日本調査業協会に加盟していること、一般社団法人日本調査業協会の探偵業務取扱者認定、法律・条例に規定される公安委員会への届出などをしている事務所を選ぶことが大切です。
重要なのは裁判所でも証拠採用される調査報告書
探偵事務所が作成する報告書は、調停や裁判において証拠資料として採用されることもあるものです。
あるいは、相手方との交渉において、有利に話を進めるための決定的な交渉材料です。
使用機材が証拠能力を左右することも
裁判所において調査報告書の証拠能力が否認されてしまっては何もなりません。
たとえば撮影にしても、市販のエントリーモデルのビデオカメラでは、状況の撮影はできても、例えば自動車のナンバープレートなどは不鮮明になります。
民生機の中でも高機能なビデオカメラで撮影し、状況によっては赤外線カメラや、さらには暗視カメラが必要なこともあります。
特に浮気調査は夜間の場合が多く、探偵社にとって暗視カメラは必須のもので、こうした機材なども、探偵事務所の調査力の一つの基準となります。
探偵事務所を選ぶには、このような点も参考にするとよいでしょう。
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■このページの著者:金原 正道