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訴訟や調停のために証拠収集するには? 証拠がないときに探偵に依頼できる?-ilc.gr.jp

訴訟や調停のために証拠収集するには? 証拠がないときに探偵に依頼できる? |2022年07月08日


民事訴訟をしたいけど、証拠がない、証拠が足りない。
そのようなときには、主張を裏づけるための証拠集めが必要です。
ある法律の条文の要件を満たすことを主張したとしても、それを示す事実を証拠により立証することができなければ、裁判官を納得させることはできません。
しかし、自分では証拠収集が難しい、時間がない、どうやって収集したらいいのかわからないときには、どうしたらよいでしょうか。

証拠の種類や内容にもよりますが、民事事件や刑事事件の証拠収集のために、探偵事務所を活用する方法があります。
そこでどのような場合に探偵事務所を証拠集めに活用できるか、その注意点などについて解説します。

主張を裏付けるための証拠の必要性

裁判官は、自由心証主義といって、裁判での証拠調べや、それまでの弁論の全趣旨に基づき、自由な心証により真実を見きわめて、判決を下すことができます。
そのことは、民事訴訟法により規定されています。

(自由心証主義)
第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

しかし、事実認定をするためには、それなりの主要な証拠を提出しなければ、裁判を有利に進めることは困難です。
裁判のほかにも、たとえば離婚調停などの調停や、仲裁手続きなどにおいても、証拠の有無によって自分が有利な方向に運ぶかどうかが決まります。

証拠の種類

民事訴訟では、証拠の種類には次のようなものがあります。

書証

書証とは、文書を証拠とするものです。
相手が持っている文書を提出させるための文書提出命令や、弁護士でなければ取り寄せることができない弁護士照会といった証拠集めもありますが、自分が保管している文書や、自分で探すことのできる文書もあります。

また、録音テープ、ビデオテープ、奢侈なども、書証に準じるものとして証拠調べが行われます。

検証

検証とは、裁判官が五官の作用によって、検証する対象物を直接に観察することです。
検証の結果が証拠資料となります。

証人尋問

証人尋問とは、証人として採用された者を裁判所において証拠調べすることです。
証人による証言が証拠資料となります。

当事者尋問

当事者尋問とは、当事者本人を裁判所において証拠調べすることです。
当事者本人の供述が証拠資料となります。

鑑定

鑑定とは、裁判所・裁判官が指定した学識経験者などの鑑定人に、鑑定事項について陳述等の意見を述べさせることです。
鑑定人による意見陳述が証拠資料となります。

民事訴訟法 外部サイトへ

不法行為の例

たとえば、不法行為を例にあげて考えてみましょう。
民法 外部サイトへ第709条では、下記のように規定されています。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

不法行為による損害賠償請求をする場合には、
1 故意または過失であること
2 他人の権利または法律上保護される利益を侵害したこと
3 これにより損害が生じたこと
を立証する必要があります。
また、損害額を立証することも必要です。

不法行為の例としては、たとえば次のようなものがあります。

交通事故
インターネット上の誹謗中傷の書き込み
器物損壊
既婚者との不倫
ストーカーやいじめ
著作権侵害
医療過誤

これらが行われたとき、他人の権利または法律上保護される利益が侵害されたということになります。
その事実を裁判官に認定してもらうためには、証拠が必要ということになるわけです。

収集する証拠の具体例

不法行為の例について、具体的にどのような証拠を収集したらよいでしょうか。

たとえば、誹謗中傷の場合には、インターネット上の書き込みを保存し印刷すること、インターネットに書き込んだ人を特定する証拠などがあります。
ただし、インターネットに書き込んだ人を特定するためには、弁護士に依頼するなど、プロバイダー責任法に基づく手続きが必要です。

医療過誤に関して、カルテなども探偵には取り寄せることができません。
個人情報保護や通信の秘密などの関係上、弁護士照会などの手続きによらなければ収集できない証拠もあります。

器物損壊の場合には、壊された物の写真、物が壊される状況を記録した監視カメラ映像などがあります。

不貞行為やストーカーなどの事件では、それらを示す写真や、録音・録画がされた記録、メールや手紙などの書証があります。
ただしメールや手紙など、通信の秘密を勝手に第三者が開封するなどすれば、違法に収集された証拠ということになりますので、どのような手段で集めてもよいということではありません。

探偵事務所に収集可能な証拠と、注意点

以上のように見てくると、探偵事務所が証拠収集できるものと、不可能なものとがあることがわかります。
また、探偵事務所にも得意・不得意や、取扱業務の範囲があります。
したがって、実際に依頼を検討するときには、探偵事務所の取扱業務や、料金、実績などをウェブサイトなどで確認することが大切です。

それ以外にも注意点があります。
むやみやたらに証拠集めを依頼すると、日数や時間計算などで、探偵事務所に支払う料金がかさんでしまいます。

それ以前の問題として、裁判や調停などで自分の主張を裏付け、事実認定してもらうことが必要かは、法律の要件や裁判の実務に関わることです。
そのため、どのような証拠が必要か、それら証拠をどのような方法で収集するか、あと何が証拠として足りないかを、弁護士に相談して、判断する必要があります。

「裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない。」(民事訴訟法第181条)とされています。
有力な証拠と思っても、裁判所に証拠として採用されないのでは、裁判での事実認定のためには役に立ちません。
たとえば、盗聴などの違法な手段により収集された違法収集証拠は、裁判の証拠として採用されない可能性があります。

したがって、証拠として何が必要か、それをどうやって集めるかを弁護士に相談したうえで、どの探偵事務所がよいかを選定し、必要な部分について探偵事務所に依頼するという方法をとることが有効です。


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刑事事件の証拠集めに探偵事務所が利用できる場合も

なお、証拠の収集は、刑事事件においても同様の方法をとれるケースがあります。
刑事事件は警察、検察が捜査をすることになります。

しかし、事件として成立するかわからない、証拠がないので事件化できないといった場合に、警察や弁護士と相談しながら、証拠を集めることが有効な場合があります。

上記の不法行為の例でも、器物損壊やストーカー被害などで、証拠を集めた結果、ようやく事件として捜査してもらえるというケースがあります。

このようなケースでも、事前に警察に相談し、あるいは弁護士に相談することをまず行い、そのうえで証拠として何が必要か、それをどうやって集めるかを弁護士に相談したうえで、どの探偵事務所がよいかを選定し、必要な部分について探偵事務所に依頼するという方法をとることが有効です。


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■このページの著者:金原 正道

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