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業務改善助成金(~2023/1)-ilc.gr.jp

業務改善助成金(~2023/1) |2022年06月19日


令和4年度の業務改善助成金の、申請受付が開始されました。
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援するために助成されるもので、厚生労働省の管轄で行われています。

令和4年度の申請締め切り

2023年(令和5年)1月31日

ただし、この助成金は予算の範囲内で交付されるため、申請期間内に募集を終了する場合があります。
早めに検討し、相談等をした方がよいでしょう。

業務改善助成金の概要

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。
従業員の福利向上という側面があるために、厚生労働省管轄となっているわけですが、後述するように資金の用途は広く、設備投資や人材育成などに充当することも可能です。

設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、生産性向上を図ることによって、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合には、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。

助成のための要件

1 賃金引上計画を策定すること

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げることが必要で、就業規則等に規定しなければなりません。

2 引上げ後の賃金額を支払うこと

就業規則の改訂だけではなく、実際に引き上げた賃金額を支払うことが必要です。

3 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと

単なる経費削減のための経費や、職場環境を改善するためだけの経費、通常の事業活動に伴う経費などは除きます。

4 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと

賃金を引き上げた分、従業員を解雇等したのでは、本制度の趣旨からはずれます。

その他、申請に当たって必要な書類があります。

助成額

事業場内最低賃金を、申請コースごとに定める引上げ額以上の金額以上、引き上げた場合に、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に、助成率を乗じて算出した額を助成します。
(千円未満端数切り捨て)

ただし、申請コースごとに、助成対象事業場、引上げ額、助成率、引き上げる労働者数、助成の上限額が定められています。

業務改善助成金のこれまでの活用事例

製造業

業務改善助成金を、食品製造業の調理器具類に活用した事例

導入前は、手作業で食品を加工、計量、製造していたため、製品の出来具合にばらつきが生じており、人員も多く必要で、作業効率が悪かったところ、導入後には出来具合にばらつきがなくなり、作業時間を削減することができ、人員を他の業務に回すことが可能となった。

業務改善助成金を製品の包装機械に活用した事例

導入前は、包装を手作業で行っていたため、作業時間が長く、一度に生産できる量も限られていたところ、導入後には均一な仕上がりが実現し、一度に多量を生産することができるようになった。

業務改善助成金を、経理システム、工程管理システム、生産管理システム等に活用した事例

外衣・シャツ製造業や、金属製品製造業などにおいて、導入前はシステム化が進んでいなかったところ、システムの導入により時間短縮、間違いのない管理ができるようになった。

卸売業・小売業

業務改善助成金を、POSレジシステム、自動釣銭機等に活用した事例

導入前は、入金・売上の集計や、領収書、釣銭支払等、作業時間が長くなっていたところ、導入後には清算業務が自動化され、時間短縮されることにより、顧客の回転率も向上した。

業務改善助成金を、受発注機能付きホームページ等に活用した事例

導入前は、花・植木小売業、珈琲喫茶店などにおいて、メールのやりとり、受注後の手作業での入力、見積などを行っていたところ、導入後には作業が半自動化され、効率的になった。

宿泊業・飲食サービス業編

業務改善助成金を、食器洗浄機に活用した事例

導入前は、手作業で食器を洗浄していたため、作業効率が悪く時間がかかっていたところ、導入後には
食器の洗浄にかかる時間が大幅に短縮し、作業効率の向上を図ることができた。

業務改善助成金を、改修等によるレイアウト変更に活用した事例

飲食店、旅館業などにおいて、改修等により無駄な空間を活用できるスペースにしたり、顧客満足度を高めるサービスに利用したりすることができた。

業務改善助成金を、管理システム、オーダーシステム等に活用した事例

飲食店などにおいて、従来は人員が多く必要だった業務を、システム化することで効率的になった。

その他、外部講師による従業員向けの研修、外部団体等が行う人材育成セミナー等の受講、専門家のコンサルティングによる業務フロー見直しによる顧客回転率の向上などに活用した事例もあります。

生産性要件等による割増

生産性を向上させた企業が業務改善助成金を利用する場合に、その助成率を割増します。

また、引上げ額を30円以上とする場合は、以下の通り、生産性向上に資する自動車やパソコン等を補助対象として申請することができます。

乗車定員11人以上の自動車及び貨物自動車等
パソコン、スマホ、タブレット等の端末及び周辺機器(新規導入に限る)

生産量要件に係る特例を適用する場合、事業活動の状況に関する申出書の提出が必要です。

業務改善助成金の申請手続き

1 助成金交付申請書の提出

業務改善計画(設備投資などの実施計画)と、賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)を記載した交付申請書を作成し、都道府県労働局に提出します。

2 助成金交付決定通知

都道府県労働局において、交付申請書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金の交付決定通知を行います。

3 業務改善計画と賃金引上計画の実施

業務改善計画に基づき、設備投資等を行います。
また、賃金引上計画に基づき、事業場内最低賃金の引上げを行います。

4 事業実績報告書の提出

業務改善計画の実施結果と、賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書を作成し、都道府県労働局に提出します。

5 助成金の額の確定通知

都道府県労働局において、事業実績報告書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金額を確定し、事業主に通知します。

6 助成金の支払い

助成金額の確定通知を受けた事業主は、支払請求書を提出します。

※交付申請書を都道府県労働局に提出する前に設備投資等や事業場内最低賃金の引上げを実施した場合は、対象となりません。
※事業場内最低賃金の引上げは、交付申請書の提出後から事業完了期日までであれば、いつ実施しても構いません。
※設備投資等の実施及び助成対象経費の支出は、交付決定後に行う必要があります。


関連サイト:

最低賃金引上げに向けた中小企業への支援事業(業務改善助成金) 外部サイトへ厚生労働省


関連ページ:

助成金・補助金


■このページの著者:金原 正道

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