節電要請に伴う事業所の節電・省エネ対策は? |2022年07月01日
政府・経済産業省は2022年7月1日、「2022年度夏季の省エネ・節電へのご協力のお願い」として、節電要請の開始を広報しています。
節電要請の内容
節電要請の期間 2022年7月1日(金)~9月30日(金)まで
節電要請の期間は、2022年9月30日までとなっています。
終日、無理のない範囲で、節電へのご協力をお願いし、数値目標は設けないとのことです。
太陽光発電の出力が減少し、電力需給が厳しくなる傾向にある点灯帯(17:00-20:00頃)には、特に節電への協力を要請しています。
なお、緊急時には、政府が発信する情報も踏まえながらより一層の節電要請を行うこともありうるため、ニュースには注意しておきましょう。
夏季の省エネ・節電にご協力ください 経済産業省
製造業でできる節電対策
製造業では、電力消費のうち、生産設備が占める割合が高いため、生産過程での節電対策は特に効果的です。
業種(生産品目)や必要な生産環境(空調)に応じて電力消費形態が異なります。
生産設備
不要な、または待機状態にある電気設備の電源オフ、モーター等の回転機の空転防止を行うことは、節電に効果があります。
電気炉、電気加熱装置など熱を発する装置・設備の断熱を強化することも、節電効果を発揮します。
ユーティリティ設備
弁の閉め忘れや継手・ホースからの空気漏れをなくしましょう。
使用側の圧力を見直すことによりコンプレッサの供給圧力を低減すること、コンプレッサの吸気温度を下げることも、省エネや節電に効果があります。
負荷に応じてコンプレッサ、ポンプ、ファンの台数制御を行うことも、省エネや節電に効果があります。
インバータ機能を持つポンプ、ファンの運転方法を見直すことも、省エネや節電に効果があります。
冷凍機の冷水出口温度を高めに設定し、ターボ冷凍機、ヒートポンプ等の動力を削減することも、省エネや節電に効果があります。
ボイラーは、排ガスによる放熱ロスを避けるため、空気比の適正化を図ることも、節電に効果があります。
工業炉は、加熱炉、焼成窯、乾燥炉等の設定温度引き下げや、開口部から炉内への空気混入量低減等により、熱ロスの低減を図ることも、節電に効果があります。
オフィスビルでできる節電対策
オフィスビルにおいては、9時~19時頃に高い電力消費が続く傾向があります。
オフィスビルの電力消費の内訳(夏季の点灯帯・17時頃)は、消費電力のうち、空調が約49%、照明が約23%を占めています。合わせると約72%を占めるため、これらの節電対策は特に有効です。
照明
可能な範囲で照明を間引きし(労働安全衛生規則基準値・精密作業300Lx、普通作業150Lx、粗な作業70Lxには注意)、執務室の照明を半分程度に間引きすることは有効です。
使用していない会議室・廊下等などは、可能な範囲で消灯をしましょう。
空調
執務室の冷やしすぎに注意し、無理のない範囲で室内温度を上げることは、節電に効果があります。
ただし熱中症にはご注意。
使?していないエリアは空調を停止してください。
OA機器
休憩時間など、席を離れるときには電源を切るか、スタンバイモードにすることは、節電になります。
卸売・小売店でできる節電対策
卸売・小売店においては、9時~21時頃に、高い電力消費が続く傾向があります。
卸売・小売店においては、消費電力のうち、空調が約26%、照明が約22%、冷凍・冷蔵とショーケースでそれぞれ約7%を占めています。
合わせて全体の約62%を占めるため、これらの節電対策は特に有効です。
照明
可能な範囲で照明を間引きし(労働安全衛生規則基準値・精密作業300Lx、普通作業150Lx、粗な作業70Lxには注意)、執務室の照明を半分程度に間引きすることは有効です。
使用していない休憩室・廊下等、看板、外部照明、駐車場などは、可能な範囲で消灯をしましょう。
空調
店舗の冷やしすぎに注意し、無理のない範囲で室内温度を上げましょう。
ただし熱中症や、生鮮食料品などの痛みにはご注意ください。
冷蔵・冷凍
可能な範囲で業務用冷蔵庫の台数を限定し、冷凍・冷蔵ショーケースの消灯などを行いましょう。
食品スーパーでできる節電対策
食品スーパーにおいては、9時~17時頃に高い電力消費が続く傾向があります。
食品スーパーにおいては、消費電力のうち、ショーケースが約38%、空調が約24%、照明が約16%、冷凍・冷蔵が約10%を占めていますす。
合わせて全体の約88%を占めるため、これらの節電対策は特に有効です。
照明
可能な範囲で照明を間引きし(労働安全衛生規則基準値・精密作業300Lx、普通作業150Lx、粗な作業70Lxには注意)、執務室の照明を半分程度に間引きすることは有効です。
使用していない休憩室・廊下等、看板、外部照明、駐車場などは、可能な範囲で消灯をしましょう。
空調
店舗の冷やしすぎには注意し、無理のない範囲で室内温度を上げましょう。
ただし熱中症や、生鮮食料品などの痛みにはご注意ください。
使用していない事務室、休憩室などは空調を停止しましょう。
冷蔵・冷凍
可能な範囲で業務用冷蔵庫の台数を限定し、冷凍・冷蔵ショーケースの消灯などを行いましょう。
冷凍・冷蔵ショーケースの吸込み口と吹出し口の前には、商品を置かないようにし、定期的に清掃を行います。
オープン型の冷凍・冷蔵ショーケースについては、冷気が漏れないように、ビニールカーテンなどを設置することも効果的です。
調理機器、冷凍庫の設定温度の見直しもしましょう。
ホテル・旅館でできる節電対策
ホテル・旅館においては、11時~23時頃に高い電力消費が続く傾向があります。
ホテル・旅館においては、消費電力のうち、空調が約29%、照明が約18%を占めます。
合わせると約47%を占めるため、これらの節電対策は特に有効です。
照明
可能な範囲で照明を間引きし(労働安全衛生規則基準値・精密作業300Lx、普通作業150Lx、粗な作業70Lxには注意)、執務室の照明を半分程度に間引きすることは有効です。
使用していない休憩室・廊下等、会議室、宴会場、看板、外部照明、駐車場などは、可能な範囲で消灯をしましょう。
空調
店舗の冷やしすぎには注意し、無理のない範囲で室内温度を上げましょう。
ただし熱中症や、生鮮食料品などの痛みにはご注意ください。
使用していないロビー、廊下、事務室、休憩室、会議室、宴会場などは空調を停止したり、冷やしすぎに注意し、無理のない範囲で室内温度を上げましょう。
ただし熱中症にご注意。
飲食店でできる節電対策
飲食店においては、10時~20時頃に高い電力消費が続く傾向があります。
飲食店においては、消費電力のうち、空調が約51%、照明が約17%を占めています。
合わせて全体の約68%を占めるため、これらの分野における節電対策は特に有効です。
照明
可能な範囲で照明を間引きし(労働安全衛生規則基準値・精密作業300Lx、普通作業150Lx、粗な作業70Lxには注意)、執務室の照明を半分程度に間引きすることは有効です。
使用していない休憩室・事務室、大部屋や、看板、外部照明、駐車場などは、可能な範囲で消灯をしましょう。
空調
店舗の冷やしすぎに注意し、無理のない範囲で室内温度を上げましょう。
ただし熱中症や食中毒にはご注意。
厨房
使用していない機器(調理機器など)のプラグは抜きましょう。
調理機器の設定温度の見直しを行いましょう。
冷蔵・冷凍 冷凍冷蔵庫の庫内は詰め込みすぎず、ドアの開閉回数や時間を低減し、庫内の整理を行い、温度調節をしましょう。
学校でできる節電対策
小学校、中学校、高等学校においては、9時~15時頃に高い電力消費が続く傾向があります。
これら学校においては、消費電力のうち、空調が約37%、照明が約33%を占めています。
合わせて全体の約70%を占めるため、これらの節電対策は特に有効です。
照明
可能な範囲で照明を間引きし(労働安全衛生規則基準値・精密作業300Lx、普通作業150Lx、粗な作業70Lxには注意)、執務室の照明を半分程度に間引きすることは有効です。
点灯方法や使用場所を工夫し、体育館の照明などは1/4程度間引きしましょう。
体育館等で使われる水銀ランプを、LEDランプに交換することは効果的です。
教室でも、窓際等の自然採光部分は、可能な範囲で消灯しましょう。
空調
教室、職員室等の冷やしすぎに注意し、無理のない範囲で室内温度を上げつつも、熱中症には十分にご注意ください。
使用していない教室、特別教室などは空調を停止しましょう。
プール
プールの水位調整のための給排水を少なくするよう工夫し、プール用水のろ過フィルタを清掃しましょう。
医療機関できる節電対策
医療機関においては、8時~16時頃に高い電力消費が続く傾向があります。
医療機関においては、消費電力のうち、空調が約35%、照明が約33%を占めています。
合わせて全体の約67%を占めるため、これらの節電対策は特に有効です。
照明
可能な範囲で照明を間引きし(労働安全衛生規則基準値・精密作業300Lx、普通作業150Lx、粗な作業70Lxには注意)、執務室の照明を半分程度に間引きすることは有効です。
使用していない診療時間外の外来部門、診療部門、看板、外部電源、駐車場などは、可能な範囲で消灯をしましょう。
空調
空調は、病棟、外来、診療部門(検査室、手術室等)、厨房、管理部門ごとに、適切な温度設定をしましょう。
ただし患者の安全と健康を第一に取り組みましょう。
使用していないエリア診療時間外の外来や、診療部門などは、可能な範囲で空調を停止しましょう。
入院病棟などの直射日光を遮るために、ブラインド、カーテン、遮熱フィルム、ひさし、すだれ等を活用しましょう。
ポータブル電源・ポータブル蓄電池
ポータブル電源・蓄電池は、家庭やオフィスのコンセントから充電し、電気を貯めておく置けるタイプの電源となるものです。
ポータブル電源・ポータブル蓄電池でも無停電電源機能のあるものや、無停電電源装置があると、緊急時に役立ちます。
非常時の緊急用の電源として、必要台数があると安心です。
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■このページの著者:金原 正道