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経済安保推進法が成立、2023年から施行-ilc.gr.jp

経済安保推進法が成立、2023年から施行 |2022年06月05日


2022年5月11日、参議院本会議において経済安保推進法が成立し、2023年から施行されることとなりました。

半導体、希少金属などの、戦略的に重要性が増す物資の供給網を強化し、基幹インフラの防護に取り組む体制を整える内容で、戦略的重要物資の供給網の構築、基幹インフラの安全確保、先端技術の官民研究、機微技術についての特許の非公開、の4本柱から構成されています。
特許法など関係法令の改正等も必要となるため、2023年から段階的に施行されます。

経済安保推進法の構成

経済安保推進法は、正式名称は、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」です。
以下の章立てからなる法律です。

目次

 第一章 総則(第一条-第五条)
 第二章 特定重要物資の安定的な供給の確保
  第一節 安定供給確保基本指針等(第六条-第八条)
  第二節 供給確保計画(第九条-第十二条)
  第三節 株式会社日本政策金融公庫法の特例(第十三条-第二十五条)
  第四節 中小企業投資育成株式会社法及び中小企業信用保険法の特例(第二十六条-第二十八条)
  第五節 特定重要物資等に係る市場環境の整備(第二十九条・第三十条)
  第六節 安定供給確保支援法人による支援(第三十一条-第四十一条)
  第七節 安定供給確保支援独立行政法人による支援(第四十二条・第四十三条)

  第八節 特別の対策を講ずる必要がある特定重要物資(第四十四条・第四十五条)
  第九節 雑則(第四十六条-第四十八条)
 第三章 特定社会基盤役務の安定的な提供の確保(第四十九条-第五十九条)
 第四章 特定重要技術の開発支援(第六十条-第六十四条)
 第五章 特許出願の非公開(第六十五条-第八十五条)
 第六章 雑則(第八十六条-第九十一条)
 第七章 罰則(第九十二条-第九十九条)
 附則

国会提出法案(第208回 通常国会) 外部サイトへ
内閣官房
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案「概要」[PDF] 外部サイトへ内閣官房
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案 外部サイトへ衆議院


第一章 総則

 (目的)
第一条 この法律は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するためには、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な方針を策定するとともに、安全保障の確保に関する経済施策として、特定重要物資の安定的な供給の確保及び特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度並びに特定重要技術の開発支援及び特許出願の非公開に関する制度を創設することにより、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

経済安保推進法概要1

 (基本方針)
第二条 政府は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な事項
 二 特定重要物資(第七条に規定する特定重要物資をいう。第六条において同じ。)の安定的な供給の確保及び特定社会基盤役務(第五十条第一項に規定する特定社会基盤役務をいう。第四十九条において同じ。)の安定的な提供の確保並びに特定重要技術(第六十一条に規定する特定重要技術をいう。第六十条において同じ。)の開発支援及び特許出願の非公開(第六十五条第一項に規定する特許出願の非公開をいう。)に関する経済施策の一体的な実施に関する基本的な事項
 三 安全保障の確保に関し、総合的かつ効果的に推進すべき経済施策(前号に掲げるものを除く。)に関する基本的な事項
 四 前三号に掲げるもののほか、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関し必要な事項

3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

経済安保推進法概要2

 (内閣総理大臣の勧告等)

第三条 内閣総理大臣は、安全保障の確保に関する経済施策の総合的かつ効果的な推進のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料又は情報の提供、説明、意見の表明その他必要な協力を求めることができる。

2 内閣総理大臣は、安全保障の確保に関する経済施策の総合的かつ効果的な推進のため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な勧告をし、又はその勧告の結果とられた措置について報告を求めることができる。

3 内閣総理大臣は、安全保障の確保に関する経済施策の総合的かつ効果的な推進のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、安全保障の確保に関する経済施策に資する情報を提供することができる。

 (国の責務)
第四条 国は、基本方針に即して、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進する責務を有する。

2 国の関係行政機関は、安全保障の確保に関する経済施策の実施に関し、相互に協力しなければならない。

3 国は、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (この法律の規定による規制措置の実施に当たっての留意事項)
第五条 この法律の規定による規制措置は、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならない。

総則のポイント

法律の目的

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な方針を策定

安全保障の確保に関する経済施策として、
特定重要物資の安定的な供給の確保
特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度を創設
特定重要技術の開発支援及び特許出願の非公開に関する制度を創設

政府が定める基本方針の内容

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本的な事項

特定重要物資の安定的な供給の確保
特定社会基盤役務の安定的な提供の確保
特定重要技術の開発支援
特許出願の非公開
に関する経済施策の一体的な実施に関する基本的な事項

安全保障の確保に関し、総合的かつ効果的に推進すべき経済施策に関する基本的な事項

そのほかの、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関し必要な事項

留意事項

内閣総理大臣には、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料又は情報の提供、説明、意見の表明その他必要な協力や、勧告を求めることができる一方、方針を公表し、この法律の規定による規制措置は、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならないとされています。


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■このページの著者:金原 正道

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